また無謀にも

小説書いてみた。
ニホンゴムズカシイです。

そういえば何か、外国の人が一生懸命

konnichiwa!

とか

o-henji matte masu.

とか書いてくると可愛くて仕方がない件。
私のつたない英語もそんな感じなんだろうか。可愛いで済めばいいけどな・・・（遠い目）


珍しくヨーロッパ勢がメインっていうかヨーロッパ勢しかいない小説↓

**三感**







カタタタ　タン　カタタ　タン　カタタタタタ　タン　カタタ　タン





控えめなキータッチの音で目が覚めた。
軽いファンのうなりと一緒に、薄いキーボードをリズミカルに叩く音が聞こえてくる。


この叩き方は、ドイツかな。
データ入力でもしてるような音だけど、ほとんどミスタイプしてないみたい。
凄いなぁ。

キーの叩き方って、個性でるよね。
これがフランス兄ちゃんだと、もっと先が読めない感じだし、俺はしょっちゅう間違えるから、よくリズムが狂ってる。
スペイン兄ちゃんは・・・あんまりパソコンをいじってるところに遭遇しないなぁ。

俺、耳はいいからさ。
このリズムは、心地が良い。

昨日ドイツも夜遅くまで飲んでたのに、朝ちゃんと起きて仕事できるところは、尊敬。

昨日は、ドイツが珍しく嬉しそうに、自分ちのワインが旨くできたんだなんていうから、それを聞きつけたフランス兄ちゃん、スペイン兄ちゃんそして俺―要するにワイン好き―が集まって、パーティーになった。

みんな耳ざといよね。

俺もだけど！

ドイツの家のデザートワイン、甘くて美味しくて大好き。
飲み口いいから、お酒に弱い日本が、べろんべろんになっちゃったことがあって、面白かったなぁ。

昨日はワインにはちょっとうるさい四人が集まったから、なんだか有意義なワイン集会で、つい飲み過ぎちゃった。
手みやげに、フランス産、スペイン産、イタリア産のワインまで揃っちゃったもんね。

どこのワインも美味しいけど、結局みんな自分のところが一番だって思ってることも知ってる。優劣なんて、つけられないからね。


カタタタ　タン　カタタ　タン　カタタタタタ　タン　カタタ　タン


耳に響く単調なリズムは、最高の子守歌。
そんなまどろみの縁にいる俺のところに、今度は良いにおいが伝わってきた。
ベーコンの匂いかなぁ。
そういえば、おなか空いたかも。


不意に俺の背中に、何か暖かいものが触れた。
あれ、昨日誰の隣に寝たんだっけ。
半分も機能していない頭を回転させて思い出そうとして

考えつかれてやめたころ、それはものの１分足らずだったんだけど。

「なんやドイツ、朝から仕事しとるん？」

ぬくもりの主が目を覚ましたみたいだった。



「仕事という程のものでもないが、早くまとめてしまおうとおもったんでな。」

カタタタ　タン　カタタタ　タン

話しながら、ドイツの指がリズムを刻む。

「ようやるなぁ。ドイツも昨日は随分飲んでたんと違うか？元気やなぁ。
俺は二日酔いやわ～。」


ボスンと、一度身体を起こしたスペイン兄ちゃんが再びベッドに倒れ込む。


「いや・・まぁ

と、ドイツが途中まで出した言葉は、兄ちゃんには届かなかったみたいだった。
実は同じく遅くまで起きていた俺は、何故ドイツが二日酔いにならなかったのかを知っている。

自らを律することを第一とするドイツだから、そんなこと俺が知ってるなんて言ったらショックだろうなぁ。黙っておこう。



・・・でもまぁ、吐くと、楽になるよね。



昨日は珍しく、羽目を外して上機嫌だったからな。良く笑うドイツは、貴重。




「おまえらー、朝飯できたぞー！！！ていうか起きてるんだったら手伝えー！」

キッチンのほうで、フランス兄ちゃんの声がする。
そっか。スペイン兄ちゃんがここにいるってことは、朝ご飯はフランス兄ちゃん作かぁー。
ヴェー、益々おなかが空いてきた。



「イタリアー、おきひんのー？」

スペイン兄ちゃんが俺を揺さぶる。でも、もうちょっと、もうちょっとだけ、まどろみのなかにいたい気分なんだけどなぁ・・・。

「起きないと、朝飯がなくなるだけだ。」

そういってドイツの足音は遠ざかる。

「ちょおまってぇなドイツ！」

スペイン兄ちゃんの足音も。





「・・・・もしかして、ドイツ、俺が起きてることに気づいてた？」

食いっぱぐれるのだけは、勘弁だなぁと、俺はようやくそこで目を開けた。
ぬくもりを残すベッドに泣く泣く別れを告げ、

「ヴェヴェ、まってよー！！」

良いにおいのする方へ、二人の後を追った。